研究課題/領域番号 |
06670457
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研究機関 | 島根医科大学 |
研究代表者 |
木村 恒二郎 島根医科大学, 医学部, 教授 (30153191)
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研究分担者 |
井津 智子 島根医科大学, 医学部, 助手 (80263515)
高橋 節典 島根医科大学, 医学部, 助手 (90032226)
松原 和夫 島根医科大学, 医学部, 助教授 (20127533)
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キーワード | 法医中毒学 / ガスクロマトグラフィー / 質量分析法 / 灯油 |
研究概要 |
高沸点混合揮発性物質(灯油)を体組織中から高感度に検出するための研究を主に行い、その結果の法医実務応用を試みた。以下にその概要を示す。 1.灯油を分析するためのガスクロマトグラフィー/質量分析法(GC/MS)の条件決定:分析装置にはガスクロマトグラフィー(GC)に四重極型あるいは二重収束型質量分析計(いずれもイオン化電圧;70eV)を接続したものを、分析カラムには長さ30m、内径0.25mmの毛細管カラムを使用し、標準灯油について50℃から220℃までの昇温分析を行った。その結果、各灯油成分(鎖状、芳香族炭化水素)に対して高感度かつ分離良好な定性が可能となった。なお、定量については体組織中からより高濃度に検出され、かつ分析段階で生体成分に妨害を受けない芳香族炭化水素類を選択することとした。 2.試料調整法の検討:血液を生体試料として使用し、気化平衡法および溶媒抽出法について検討を試みた。その結果、7〜10mlのn-ペンタンを溶媒として抽出を行った方がより高感度な成分分析が可能であった。この際、n-ペンタン中に存在する石油成分が一部分析の妨害となったが、n-ペンタンを数回蒸留することによってこれらの妨害を減少させることが可能であった。なお、気化平衡法を用いた抽出については多少の感度低下はあるものの、定性には差程影響は与えなかった。 3.法医実務応用:背面、胸、腹部に多数の刺切創および火傷を認めた男性自殺例について、血液中から灯油成分が検出され、生前、まず灯油を浴び、点火後に自ら刺器を刺入し死亡したものと判断された。
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