研究概要 |
平成6年度はPCR-RFLP法を使用し、ヒトDNA試料からABO式血液型の詳細な遺伝子型解析を行った。末梢血からのDNA分離精製は,従来のフェノール・クロロフォルム法およびヨウ化ナトリウム法を用いたが,若干の改良を加えた。PCR用プライマーは13種類を考案し作製した。ABO遺伝子座の5箇所の変異点(Point 1〜5)のうち,Point 1〜4を含むフラグメントの増幅には8種類のプライマーを,そしてPoint 5を含むフラグメントの増幅には1種類のプライマーと2種類の型特異的プライマーを使用することで良好な結果を得た。そして8種類の制限酵素を選択し,これらの酵素で処理した増幅フラグメントを電気泳動することで,5箇所の変異点が問題なく解析できた。この成果はInternational Journal of Legal Medicine誌に掲載される(1995,印刷中)。つぎに,Point 1〜5以外の変異点について解析を進めた。Point 5増幅用プライマーと7種類の制限酵素を使用することにより,np467とnp646との2点において、塩基置換に起因する多型が解析できた。この成果は既に論文にまとめ(標題:Nucleotide polymorphisms at positions 467 and 646 of the ABO blood group system in Japanese),学術雑誌に投稿した。法医学実務では,詳しい遺伝子型よりも一般的な遺伝子型を知りたい場合が多い。本研究では新規に型特異的プライマーを作製し,制限酵素処理操作の必要がなくPCRと電気泳動だけで一般的遺伝子型判定が可能な2つの方法を考案した。この内容は学会(第11回日本法医学会中四国地方会)で既に発表した。
|