研究概要 |
現在までに約50例における法医剖検脳および硬膜等の検索を終え、虚血性脳障害では,その虚血の期間の長短で,線維芽細胞増殖因子(FGF)の出現様態が,神経細胞やグリア系細胞で異なっており,ストレス蛋白(HSP)は海馬の各領域(S1,S2,S3.4)での局在に差異が認められた. さらに虚血巣そのものと遠隔部を比較するこれらの出現様態は異なっていた. また硬膜下出血部を資料としてFGFとHSPの局在を検索した結果,出血部の組織でも発症(出血)時期の違いにより線維芽細胞の細胞質及び核内における局在に変化が認められ、さらに血管の新生像が明瞭に観察された. 今後更に症例数を増やし,FGFファミリー蛋白ならびにHSPファミリー蛋白の因子を増やして,これらの細胞内出現様態(局在)を免疫組織学的染色法によって詳細に検討し,これらファミリー蛋白の法医神経病理学的意義をより明確にし,脳虚血の病態や硬膜下出血,脳挫傷等の発症時期の判定等についての病理組織学的診断法を確立すべく本研究を推し進めている.
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