研究課題/領域番号 |
06670464
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
法医学
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
森田 国彦 札幌医科大学, 医学部, 教授 (00045353)
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研究分担者 |
畠 克彦 札幌医科大学, 医学部, 助手 (10228463)
安積 順一 札幌医科大学, 医学部, 講師 (00045551)
舟山 眞人 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (40190128)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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キーワード | 増殖細胞核抗原 / 免疫組織化学 / 創傷治癒 / ラット皮膚 |
研究概要 |
創傷治癒には細胞増殖が必須であることから、増殖細胞マーカーを指標にしても創傷の治癒過程を追えるはずである。今回の研究ではラット皮膚に人工的な損傷を形成し、その後の治癒過程における増殖細胞核抗原(PCNA)陽性細胞の増減を免疫組織化学的に検討した。ラット皮膚では非損傷部の表皮基底細胞の多くがPCNA陽性を示すため、これを指標とした生前・死後の区別は困難である。従って今回は、治癒過程中に出現するPCNA陽性細胞の増減について注目した。創周囲のPCNA陽性細胞の集簇は、fibroblast類似の細胞核に受傷後6時間頃からみられるようになる。受傷後1日を経るとfibroblast以外にも、毛細血管内皮に陽性所見を示す例が多くなる。特に、管腔が未だ完成していない内皮細胞でも陽性所見が目立ち、即ちこれから多数の毛細血管へと分化していく様子を明らかに認める。背部ならびに腹部の切創とも、受傷後4日目頃がPCNA養成細胞数のピークとなる。受傷後5・6日を過ぎると浸潤細胞数自体は未だ多いものの、肉芽内のfibroblastや毛細血管上皮に陰性所見が多くなる。この時期を結合織染色でみると、コラーゲンの増生はPCNA陰性細胞が多い肉芽の中〜深層部で著明であった。このように、PCNA自体は生前死後の区別そのものには利用できないものの、PCNA陽性細胞数の増加を追うことにより、細胞増殖の開始時期からそのピーク、そしてコラーゲンの合成・増殖への移行と、一般染色だけでは判断できないような創傷治癒機転を容易に把握することが可能であった。
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