研究概要 |
Capillary zone electrophoresis(CZE)とレーザー光熱変換効果のひとつであるCapillary vibration induced by laser(CVL)を検出法として組み合わせた免疫測定によって,ホルモンや薬剤の検出を試みた.血清,尿などに含まれるHCGとメタンフェタミンなどの薬物の検出を目的とし,基本的な分離と検出法を検討した.HCGまたはメタンフェタミンとウシ血清アルブミン結合物を金コロイドに吸着させ,一定量の抗体に標準原溶液を競合反応させてCZEによる分離を行い,CZEの高感度な検出法として開発したCVLを用いた測定法で,HCGは従来の免疫測定よりも1-2桁高感度に測定できた.薬剤についてはさらに特異性や感度を検討している. 顕微鏡下での微小な範囲での光熱変換効果を利用した顕微熱レンズ分光法により,鼻粘膜ポリ-プの肥満細胞1つに含まれるヒスタミンの定量と腎尿細管上皮細胞中の抗生物質の定量を行った.パラフィン固定組織標本を用いて,組織をすりつぶしたり,抽出操作を加えずに,ヒスタミンやトブラマイシンの局所濃度測定が可能になった.これは薬剤などによるアナフィラキシ-の証明に役立つと考えられる. 同じ測定系を白血球膜の抗原の検出と定量に応用した.リンパ球と抗HLA抗体を吸着させた金コロイドの反応を顕微熱レンズ分光法で測定し,HLA抗原の検出と定量を行い,HLAタイピングの微量化と簡便化を可能にできた.さらに,白血球膜上の抗原分布を知るのにも役立つと思われる.
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