研究概要 |
顕微鏡下での微小な範囲での光熱変換効果を利用した顕微熱レンズ分光法を白血球膜の抗原の検出と定量に応用した.リンパ球と抗HLA抗体を吸着させた金コロイドの反応を顕微熱レンズ分光法で測定し、HLA抗原の検出と定量を行い,HLAタイピングの微量化と簡便化を可能にできた.また,単球上のHLA-ABC抗原の分布とその量を知るため,3次元にプローブ光を走査させて測定したところ,抗原が局在している知見が得られた.固定した組織標本と異なり,生の白血球は表面が球形状であるので,球面の高さ方向(z軸方向)の信号強度を正しく得るためには,測定点毎のフォーカスがあっていなければならない.得られた白血球の知見が妥当であるかどうかを検討するため,人工的に着色した粒径28,40,92μmの3種類のラテックスビーズを用いて基礎的な研究を行った.ビーズに抗原(メタンフェタミン-BSA)を吸着させ,抗メタンフェタミン吸着金コロイドで染色した後,レーザー顕微鏡で観察し,金コロイドがほぼ均一に吸着している粒子を選び,顕微熱レンズ分光法で金コロイドの付着状態を測定した.球面上の物質の分布の測定では,定量に際してオートフォーカスの導入など,まだ若干の問題が残っていることがわかった.
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