研究概要 |
従来の測光メカニズムとは異なる,レーザー分光(レーザー光熱分光)による新しい検出法を免疫分析に応用した.また,これらの方法が実際に生体微量成分の検出と定量に使用できることを証明した.レーザー光熱変換免疫分析方法は,(1)偏向分光法(Optical beam deflection,プローブ光の曲がりの程度,すなわち偏向の程度の検出)を用いた免疫測定,(2)キャピラリー電気泳動とキャピラリーの振動を検出する方法(Capillary vibration induced by laser,CVL)を組み合わせた免疫測定,(3)顕微鏡下の微小な空間での光熱変換分光法を使った顕微熱レンズ分光法(Photo thermal microscopy,熱レンズ顕微鏡)による免疫分析法である.これらの方法によってヒト血清中のIgE,carcinoembryonic antigen,Lewis抗原,HCG,尿中のメタンフェタミン,固定腎組織標本中のトブラマイシン,リンパ球表面抗原のHLAの定量ができた.これらの分析方法はいずれも従来法よりも検出感度,簡便性などにおいてはるかに優れたおり,いくつかの新しい知見を得られ,個人識別などに応用できることがわかった.私たちが開発した新しい免疫分析法は医学や法医学の分野だけでなく,化学やその他のさらに広い分野での応用が可能であると思われる.
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