polymerase chain reaction(PCR)法を用いてC型肝炎ウイルス(HCV)のRNAおよびそのゲノタイプを測定し、competitive PCR法を用いてHCVRNA量を測定し、それらの臨床的な意義および疫学的な意義を検討した。 慢性のHCV感染者225例についてみると、そのゲノタプはII型が67.8%、III型が17.3%、IV型が14.9%で、I型は1例も存在しなかった。HCVRNA量はゲノタプII型で10^<5.8+1.0>コピー/mlで、III型の10^<5.1+1.2>コピー/mlとIV型の10^<4.8+1.1>コピー/mlに比較して有意に高値を示した。HCVRNA量は年齢と関連がなく、また慢性肝炎、肝硬変、肝癌などの病態とRNA量はゲノタイプとのみ強く相関していた。 さらにインターフェロンの投与を受けたC型慢性肝炎患者80例について、HCVRNAのゲノタイプおよび量を含めた種々の因子とインターフェロンの効果との関連についてみた。インターフェロン投与終了後6カ月で血清中のHCVRNAの陰性化およびトランスアミナーゼ値の正常化がみられたものをインターフェロン有効群とした。有効例は無効例に比較して患者側の因子として年齢が低く、肝組織において線維化が少ないこと、またウイルス側の因子としてHCVRNA量が低値であることとが判明した。またゲノタイプII型に有効例が少なく、III型に有効例が多くみられた。以上のインターフェロン有効因子を多変量解析で分析すると、インターフェロンの効果を予測する因子として重要であったのはHCVRNA量とゲノタイプのみであった。
|