研究概要 |
1.抗ミトコンドリア(PDC)抗体遺伝子の決定ならびに抗体産生Bリンパ球の由来の解析 PBC患者より樹立した抗ミトコンドリア(PDC,OGDC)抗体産生B細胞株よりmRNAを精製し,cDNAを作成した.このcDNAより免疫グロブリンIgVgeneに特異的なprimerを用いてIg遺伝子をPCR法を用いて増幅後,増幅されたIg遺伝子をplasmid vectorにクローニングし,その塩基配列を決定し,既知の免疫グロブリン遺伝子ファミリーと比較した.その結果,抗ミトコンドリア(PDC,OGDC)抗体に特異的な遺伝子ファミリーの使用はなく,抗原で刺激されたBリンパ球がクローナルに増殖した可能性を明らかにした. 自己抗原(PDC-E2)特異的T細胞のクローニングとT細胞エピトープの解析 PBC患者末梢血を自己抗原提示細胞と各種ミトコンドリア抗原(PDC,OGDCおよびPDC-E2コンポーネントを網羅する合成ペプチド)の存在下で培養し,ミトコンドリア抗原で刺激を繰り返すことによってミトコンドリア抗原特異的T細胞クローンを樹立した.得られたT細胞クローンについてT細胞エピトープ・マッピングを行った.その結果,T細胞エピトープもBリンパ球の近傍に存在し,minimmum epitopeはペプチドPDC-E2(163-176)であることを明らかにした.このT細胞エピトープの各々のアミノ酸を他のアミノ酸と置換したペプチドでT細胞クローンを刺激することにより,EXDK並列がMHCあるいはT細胞レセプターとの結合に必須の部位であることを明らかにした.さらに,T細胞クローンのひとるが大腸菌のPDC-E2に反応したことにより,T細胞による認識においてもmolecular mimicryが存在し,PBCの発症にも大腸菌が関与している可能性があることを初めて明らかにした. 3.PBC患者のHLAの検索 PBC患者48名のHLA-DR,DQ,DP座位を336の健常者を対照として,SSOP法によってDNAタイピングを行った.その結果,PBCの疾患感受性はHLA-DRBllocusによって,一方,PBCへの疾患抵抗性はHLA-DQlocusによて制御されている可能性を明らかにした.
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