研究概要 |
t(8:22)の相互転座を伴ったB細胞株(KAL-1)は,Burkittと同様にc-myc癌遺伝子のmRNA過剰発現がみられ,ヌードマウスにて造腫瘍性を示すが,EBウイルスは細胞及び遺伝子レベルでも検出されないという造腫瘍性を有するB細胞株としては非常に稀な特徴を有している.この細胞から得られた癌遺伝子であるc-kalのエキソン部分をプローブとしてcDNAを分離し,一次構造を大部分明らかにした.ヒト胃癌細胞のcDNAライブラリーから分離したcDNAクローンのうち最長のものをシークエンスしたところ,約3kbのOpening Reading Frameが存在し,予想されるタンパク質(970aa)は膜貫通型プロテインキナーゼに類縁のものであった.N端,C端ともにまだ未完であるが,細胞外ドメインに計11カ所の糖鎖付加配列が,またキナーゼドメインのC端側には直下に3-4個のZn^<2+>フィンガー様配列があり,きわめてユニークな構造であった.さらに全一次構造を解析するため元のBリンパ腫(KAL-1細胞)由来のcDNAクローンを分離分析中である.更にリガンドの同定,活性化機構の機序の解明を進めている。
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