1)慢性関節リウマチにおる関節炎症の慢性化に末梢血液から関節滑膜への持続的T細胞浸潤が重要な役割を担っていると考えられる。われわれは既に末梢血液中のCD26高発現LFA-1中等度発現のT細胞亜群が選択的に血管外へ遊走することを確認している。今年度は慢性関節リウマチ患者末梢血T細胞の血管外遊走能を、in vitroでコラーゲンゲル上に単層培養したヒト臍帯静脈由来血管内皮細胞に末梢血単核細胞を重層し一定時間培養後コラーゲンゲル内に遊走したT細胞を算定することにより測定し、疾患活動性と金剤治療との関係を調べた。その結果、(1)リウマチ活動性が高い患者で末梢血T細胞血管外遊走能が低く、血管外遊走性T細胞が滑膜組織へ浸潤したことを反映するものと考えられた。(2)金療法により寛解に達した患者でもT細胞血管外遊走能が低下し、これは金療法により血管外遊走性T細胞の出現が抑制されたことを反映すると考えられた。 2)全身性エリテマトーデス(SLE)患者血清中に検出される抗血管内皮細胞抗体の対応抗原の一つがイムノブロット法および塩基配列分析によりribosomal P_0蛋白であり、血管内皮細胞表面に表出していることを示した。さらにrecombinant fusion蛋白を抗原として抗ribosomal P_0蛋白抗体(抗P_0抗体)をELISAにて測定する測定系を確立した。血清抗P_0抗体はSLEのみで検出され、他の疾患では検出されなかった。SLEの臓器障害との関連性では血清IgGおよびIgMクラスの抗P_0抗体は精神症状を除く中枢神経系ループスと有意の相関を示した。SLE患者髄液中の抗P_0抗体も精神症状を除く中枢神経系ループスで高値を示した。
|