研究概要 |
我々はin vivoのIgE産生抑制に焦点を当て今回の研究計画を立案した。即ち、IL-4誘導性IgE産生は抗IL-4抗体にてin vivoで抑制を受ける。しかし抗IL-4抗体は異種抗体であるため臨床応用は難しい。従って同種抗体或いは分子量の小さい物質を検討する必要がある。その物質としてつぎのものがあげられる。a.可溶性IL-4リセプター:IL-4と競合することによりIL-4誘導性のIgE産生抑制の有無を検討した。b.可溶性IL-1リセプター:可溶性IL-1リセプターは臓器アレルギーである移植片対宿主病(GVHD)を制御することが報告されている。可溶性IL-1リセプターが移植片対宿主病(GVHD)によるIgE産生の抑制効果を検討した。 結果:可溶性IL-4リセプターの効果;in vivoにおいてIL-4依存性培養細胞(CTLL-2)を用いたBIO-assayでは可溶性IL-4リセプターはIL-4依存性培養細胞の増殖は阻止できたが、寄生虫感染(Nb)によるマウスのIgE抗体産生系では可溶性IL-4リセプターの効果は見られなかった。これは寄生虫抗原が強力なT,B細胞のマイトジェンであるために期待する効果が見られないものと思われる。可溶性IL-1リセプターの効果;GVHDモデルとして、BALB/cの脾臓細胞を(BALB/c x C57BL/6)F1、C57BL/6の脾臓細胞を(BALB/c x C57BL/6)F1に細胞移入してGVHDモデルを作成した。病態解析の結果、BALB/c→(BALB/c x C57BL/6)F1の系では慢性GVHDモデル、C57BL/6(BALB/c x C57BL/6)F1の系は急性GVHDモデルであることが判明した。この二つのモデルの可溶性IL-1リセプターの投与効果を検討した。慢性GVHDモデルでは病態、病理学所見では明確な効果は見られなかった。しかし急性GVHDモデルでの効果は病態、病理学所見(臓器病変、T細胞サブセット(CD4,CD8)において障害度の軽減が認められた。
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