研究概要 |
GVH病及びHVG病は、移植治療上重篤な合併症であるがその免疫学的解析、治療法の確立はいまだ十分ではない。我々はHVG病マウスにおいて(1)血清IgE,IgG1が高値であること。(2)HVG病の主として肝病変とIgE値に相関性があること。(3)抗IL-4抗体によってHVG病が抑制できることを報告してきた。今回さらにマウス骨髄移植後GVHDの実験系において次のことを明らかにした。即ち、BALB/c→GBF1の骨髄移植後慢性GVHDの実験系において、1)血清IgG1,ドナー由来IgE^aアロタイプの上昇が認められること2)胸腺ダブルポジティブT細胞(CD4^+,CD8^+)の減少、シングルポジティブT細胞(CD4orCD8)の増加。3)抗IL-4抗体によるGVHDの多臓器病変の制御が判明した。このことは骨髄移植後GVHDにおいて液性免疫異常が存在すること、T細胞分化障害が存在すること、IL-4が重要なサイトカインとしての役割を担っていることを示唆する。今後のGVHDの病態の解明、治療法の開発に役立つ研究と考えている。
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