ヒトLAK細胞の腫瘍細胞に対する細胞障害作用に、温熱負荷がどのような影響をおよぼすかをあきらかにすることを目的に、以下の実験を行なった。まず、ヒト肝癌細胞株であるHuh-7を対象として用い、腫瘍細胞増殖能およびLAK活性測定のためにAlamar blue試薬を用いたassayを確立した。次に、腫瘍細胞に41.0℃から45.0℃までの温熱を負荷後、37.0℃で培養した時の腫瘍細胞の増殖曲線を求め、温熱処理の腫瘍細胞増殖に与える影響について検討した。そして、LAK細胞と腫瘍細胞のいずれか一方または両方に温熱負荷を加えた後にLAK活性を測定し、LAK細胞の抗腫瘍効果におよぼす温熱負荷の影響について検討を行なった。さらに、腫瘍細胞の温熱負荷とLAK細胞添加の時期を種々に組み合わせ、どのタイミングが最も抗腫瘍効果をあげることができるかについての検討を行なった。その結果、1.腫瘍細胞の41.0℃1〜6h負荷および43.0℃、45.0℃1h負荷では、負荷後の腫瘍細胞増殖曲線は未処理のcontrol群と差がなかった。しかし、43.0℃および45.0℃で3hないし6h温熱負荷を行なった場合には、その後細胞の増殖はみられなかった。2.腫瘍細胞に43.0℃の温熱負荷後LAK細胞を添加すると、強い抗腫瘍効果が認められたが、腫瘍細胞+温熱負荷LAK細胞、温熱負荷腫瘍細胞+温熱負荷LAK細胞の組み合わせでは、LAK細胞の抗腫瘍効果は著名に低下した。3.腫瘍細胞の温熱負荷後LAK細胞を添加すると、LAK細胞添加のみの場合に比べ強い抗腫瘍効果が認められた。一方、LAK細胞添加後温熱負荷を加えた場合には、LAK細胞添加のみの場合と抗腫瘍効果に差はみられなかった。LAK細胞添加と温熱負荷を同時に行なった場合には、抗腫瘍効果は著しく低下した。
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