研究概要 |
1.実験的関節炎に対する抗IL-1療法の効果:ラットアジュバント関節炎(AIA)ではIL-1結合レセプターペプチド(IL-1RP)4mg/kg、週3回の投与で二次炎症(footpad volumeの増加)が有意に抑制できた。マウスコラーゲン関節炎(CIA)でもIL-1RPあるいはsoluble IL-1 receptor(sIL-1R)の1mg/kg,週3回投与で関節点数の減少、typell collagen抗体価の抑制がみられた。今回、発症前からの投与で関節炎抑制効果がみられたので治療効果も検討する予定である。 2.関節炎モデルにおける骨代謝動態及び骨量の変化:AIAラット骨髄細胞培養において前骨芽細胞のコロニー形成(ALP陽性-fibroblast-colony forming unit:FCFU)は有意に低下していた。骨髄細胞培養における破骨細胞形成や骨吸収窩形成はAIAで有意に亢進していた。同様の結果がCIAモデルでもみられた。AIAでは脛骨、大腿骨の傍関節部で骨量の減少がみられた。IL-1RPあるいはsIL-1Rの投与でAIAやCIAにみられる骨髄での前骨芽細胞数の減少や骨吸収活性亢進が改善し、脛骨傍関節部では骨量の改善もみられた。 実験的関節炎における骨髄中サイトカインの変化:AIAあるいはCIA骨髄上清中には破骨細胞誘導活性、骨吸収促進活性、脾細胞増殖刺激活性が増加していた。これらの生理活性を抗サイトカイン抗体にて抑制試験をしたところ、IL-1、TNFαの関与が示唆された。マウスCIAに於てはIL-1α,TNFαの増加がEIAにて確認できた。 以上実験的関節炎モデルにおいて多関節炎及び傍関節骨粗鬆症の発症にIL-1の関与が示された。さらにIL-1の抑制により関節炎や骨量減少に対して抑制効果がみられたが、TNFαの結合ペプチドなどを組み合わせて投与し関節炎に対する効果を明らかにしたい。
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