研究概要 |
p53遺伝子機能と癌細胞における抗癌剤感受性との関連の有無を明らかにする目的で大腸癌培養細胞株8株(COLO201, COLO320DM, DLD-1, SW480, SW620, LoVo, LS174-T)を用いて検討した。FASAY(functional analysis of separated alles in yeast)による検討ではLoVo, LS147Tの2細胞がp53に関してwild type、他はいずれも正常p53機能を欠落していた。MTT法を用いた薬剤感受性は試験の結果はIC50値において、LoVoが他の6細胞と比較してVP16, ADM, CDDPで4〜20倍の感受性を示したがLS174T関しては感受性の差は明らかではなかった。またLoVoではDNA damage後にapoptosisが容易に生じるのに対し、LS174TではG1 cell cycle arrestが優位であった。RNA blot analysisは両細胞ともp21/waf1/cip1の発現はDNA damage後に上昇していた。 癌細胞においても野性型p53遺伝子保存株では抗癌剤投与後のcell cycle arrestやapoptosisが観察され、DNA damage後の細胞の挙動には特徴がみられた。LS174TではG1 cell cycle arrestが、LoVoではapoptosisが優位にみられることから、これらは互いに独立のpathwayを経由している、あるいはG1 arrestはapoptosis発現にはむしろ抑制的に働く可能性が示唆される。現在細胞周期同調培養の系を用いて、p53 wild typeとmutanatにおけるcell cycle上の抗癌剤作用の差異について検討している。
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