研究課題/領域番号 |
06670517
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
野村 文夫 筑波大学, 臨床医学系, 助教授 (80164739)
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研究分担者 |
中井 利昭 筑波大学, 臨床医学系, 教授 (30049192)
野田 公俊 千葉大学, 医学部, 教授 (60164703)
磯部 和正 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (10151440)
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キーワード | ADPリボシル化反応 / GTP結合タン白 |
研究概要 |
細胞内蛋白質の翻訳後修飾としてリン酸化とならび重要なADPリボシル化反応におよぼす飲酒の影響についてさらに検討を加えた。慢性アルコール投与ラットの肝細胞膜では促進性G蛋白のADPリボシル化が対照群に比して、著明に亢進することをすでに見出だしているが、その機序を詳しく解析した。従来、GsαのADPリボシル化の亢進はそのまま、サイクリックAMP産生量の増加につながると考えられてきた。ところが、上記の肝障害モデルではサイクリックAMPの産生はむしろ低下していた。Gsαの蛋白量は両群で同様であり、またARF活性にも著差はみられなかった。このことから、長期飲酒によりGsαの機能失調が生じるのか、サイクラーゼ自身の活性は正常であったことより、サイクラーゼに働きかけるうえで何らかの重要な因子に異常が生じているためなのか、など様々な可能性が考えられるが、G蛋白を介する情報伝達系の機能の評価という点で本モデルは有用と思われる。 一方、毒素に依存しない内存性のADPリボシル化反応に及ぼす飲酒の影響についてもさらに検討を進め、肝細胞膜分画にある内在性ADPリボシル転移酵素活性そのものが、飲酒により増加することを見出だした。現在、本酵素の精製を進めているが、複数の受容体蛋白をもつと考えられ、受容体蛋白の機能がADPリボシル化により制御されれば、この反応はアルコールによる肝細胞障害と密接に関連してくると予想され、さらに詳しく研究を進めている。
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