1.HCV gene cutterはHCV-RNAを塩基配列特異的に切断するribozyme RNAの部分と、これを肝細胞内に特異的に取り込ませるキャリアーであるasialoorosomucoid-poly-L-lysine(ASOR-PLL)の部分からなる。このような構造の複合体が生体内での分解を免れて肝細胞中に特異的に導入されるかを検討するため、ラットを用いた動物実験を行った。すなわち、ビオチン化した合成RNA(poly-C)とASOR-PLLの複合体をラット下大静脈より静注したところ、ビオチン化poly-Cが肝細胞に検出され、腎臓や脾臓には検出されなかった。この結果より、合成RNAを肝細胞特異的に取り込ませることが可能であると考えられた。 2.ribozyme RNAは生体内でRNA分解酵素により分解され易い。この点を改善するため我々はribozyme RNAの一部をDNAに変換したら5′-DNA-RNA-DNA-RNA-DNA-3′構造のハイブリッドribozymeを作製した。 3.遺伝子治療の臨床応用には動物実験モデルが必要である。このため、まず、HCV感染ヒト肝細胞をラット脾臓に移植した。さらに、移植肝細胞中HCV-RNAをin situ reverse transcription(in situ RT)法にて組織切片上で検出することに成功した。この方法により、HCV gene cutterの被切断RNAに対する効果がin vivoで解析可能となった。今後、この解析方法を用いて動物実験レベルでのHCV gene cutterによる細胞内HCV-RNAの破壊を検討する予定である。
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