1. HCV gene cutter はHCV RNAを塩基配列特異的に切断するribozyme RNAの部分と、これを肝細胞特異的に取り込ませるキャリアー(asialoorosomucoid-poly-L-lysine ; ASOR-PLL)の部分からなる。ビオチン化した合成RNA (poly-C)とASOR-PLLの複合体をラットに静注したところ、ビオチン化poly-Cは肝細胞にのみ検出され、キャリアによるgene cutterの肝細胞特異的な取り込みが確認された。 2. HCV感染培養ヒト肝細胞中のHCV RNAは、in-situ reverse transcription (in-situ RT)法にて組織切片上で検出可能であった。この方法により、肝細胞中HCV RNAのribozymeによる切断の有無を検出したところ、HCV RNAの塩基配列特異的切断が確認された。 3. HCV感染培養ヒト肝細胞をラットの脾臓に移植し、動物実験モデルを作製した。HCV gene cutterを静注後10分で脾臓を摘出し、固定包埋後、パラフィン切片上でin-situ RTを行った。この結果、HCV gene cutterを静注したラットではHCV RNAのRTは起こらず、静注しなかったラットではRTが確認された。以上の成績は、HCV gene cutterにより、ラットの脾臓に移植されたヒト肝細胞にribozymeを導入することが可能であり、さらに、ribozymeによりHCV RNAが切断されたことを示す。 4. 肝細胞内の標的の存在する部位へribozymeをより効率良く送り込むことを目的に、ポリマーベクターを開発した。テキサスレッド標識Oligo-DNAとポリマーベクターとの複合体による検討では、導入は肝細胞特異的であり、さらに、細胞質へのOligo-DNA導入が証明された。
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