研究課題/領域番号 |
06670537
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
吉岡 健太郎 名古屋大学, 医学部, 助手 (60201852)
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研究分担者 |
岩田 和郎 名古屋大学, 医学部, 医員
奥村 明彦 名古屋大学, 医学部, 医員
各務 伸一 名古屋大学, 医学部, 講師 (10115545)
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キーワード | C型肝炎ウイルス / HVR抗体 / genotype / 高変異領域 / 融合蛋白 |
研究概要 |
我々はC型肝炎ウイルス(HCV)のエンベロープ蛋白の一部(高変異領域以下HVR)HVRに対する血中抗体の検討をすることにより、HCVワクチン開発の一助となることを期待し、慢性肝炎患者においてHVR抗体について研究してきた。 慢性肝炎患者6例において各症例につき2から8、合計26のHVRをグルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)融合蛋白として発現させ、それらの融合蛋白を抗原として用いてHVR抗体をそれぞれの症例で検討した。ELISAを行うことにより、多くの血清を経時的に、定量的に測定できたので、GPT値と抗体価の変動の関係を初めて明らかに出来た。多くの場合、HVR抗体はGPT値の上昇に引き続いて、抗体価が上昇した。HVR抗体産生には症例により差があり、ほとんど抗体産生のみられない症例もあった。抗体産生が充分見られた症例では、抗体産生のあまりない症例に比べて、変異の頻度が高く、HVRの変異の速度にHVR抗体産生が関連している可能性が示唆された。 ここまではクローニングし塩基配列を決定した遺伝子を発現ベクターに組み込んで蛋白を発現させていたが、その後は血中ウイルスからのPCR産物を直接発現ベクターに組み込み蛋白を発現させ、一つの血液サンプルから得られた多数のクローンの蛋白と血中抗体との反応を検討した。この方法により血中のウイルスポピュレイションが不均一であり、同時期に得られたクローンにも血清とよく反応するものとしないものが共存していることが分かってきた。またHVR抗体と反応するクローンの頻度は患者により著明な差があることも分かった。特に興味あることはHVR抗体と反応するクローンの頻度がgenotypeにより著明な差があったことで、そのことがgenotypeによる臨床像(インターフェロン治療効果、発癌率)の差に関係している可能性が示唆された。
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