研究概要 |
C型肝炎患者血漿を超遠心法にて濃縮し,さらにこれをンョ糖密度勾配遠心法にて分画した精製試料のうち,competitive PCR法でHCV-RNAがhigh titerであった比重1,12〜1,17g/mlの分画精製試料をHCV粒子の探索対象として・抗HCVエンベロープ1(EI)抗体を用いた金コロイド免疫電顕法(間接法)を試みた。そして.抗HCVEI抗体と特異的に結合するウイルス様粒子を可視化することに成功し,これによって識別・同定されたHCV粒子は粒子表面に長さ約6nmの繊細なスパイク様突起を持つ直径55〜65nmの球状粒子であることをJournal of GeneraI Virology(1994,vol.75,pp.1755〜176O)に発表した。その後.同一検体について抗HCVエンベローブ2(E2)抗体を用いた金コロイド免疫露顕法を行って,上述の形態のウイルス様粒子がこの抗体とも特異的に反応することを確認し(第42回日本ウイルス学会総会演説抄録,p・96,1994),現在HCV粒子表面のE1杭原とE2抗原の重染色の試みを進行中である。 上記HCV粒子含有分画試料中には抗HCVEI抗体や抗HCVE2抗体と反応しない多形性のウイルス様粒子が共存し,このものの超微形態は上述のHCV粒子とは異なるものであることが判明した。また,この多形性のウイルス様粒子は検索したHCV感染者皿漿12検体全例で観察され,比重1・14〜1・18g/mlのショ糖密度分画試料中に検出されることが明らかとなりつつある。さらに興味ある知見として,このような多形性のウイルス様粒子が非C型肝炎患者皿漿13検体中12検体でも検出されたことから,その粒子の分取と超微形態の比較検討を行っているところである。
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