研究課題/領域番号 |
06670546
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
笠原 彰紀 大阪大学, 医学部, 助手 (70214286)
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研究分担者 |
三田 英治 大阪大学, 医学部・付属病院, 医員
片山 和宏 大阪大学, 医学部・付属病院, 医員
佐々木 裕 大阪大学, 医学部, 助手 (70235282)
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キーワード | C型慢性肝疾患 / 肝細胞癌 / Fas抗原 / Fas ligand / c-met |
研究概要 |
C型慢肝疾患各病型において血中HCV RNA量、HCV genome subtypeを検討すると、どのsubtypeにおいてもcompetitive RT-PCR法にて測定した血中HCV RNA量は慢性持続性肝炎で慢性活動性肝炎、肝硬変、肝細胞癌に比し有意に低値であった。血中HCV RNA量は肝病変が肝硬変、肝細胞癌と進展しても高値のままで、病変の進展した活動性の肝組織や肝細胞癌組織においてin situ hypridization法にてHCV RNAが検出された。C型慢性肝疾患におけるapoptosisの役割を明らかにするために、Fas抗原およびHCV core抗原の発現動態を肝組織において検討すると、Fas抗原の発現はHCV core抗原陽性で活発な炎症所見の認められる症例のpiecmeal necrosis近傍にみられた。他方、Fas ligandは肝組織浸潤単核球や末梢血単核球に発現が認められたが、肝細胞には発現が認められなかった。以上の結果は、Fas ligand-Fas抗原系がHCVの活発な増殖が継続する肝細胞の細胞障害に重要な役割を担い、肝病変の進展に密接に関与していることを示唆している。他方、Fas抗原、bcl-2の過剰発現は肝癌組織においては認められなかった。また、hepatocyte growth factorのreceptorであるc-metのmRNAまたは蛋白の過剰発現は非癌部肝組織においては認められなかったが、肝癌組織において認められ、肝癌組織が未分化の例でその発現が高率であったことより、c-metの過剰発現が発癌、肝癌の進展に関与している可能性が示唆された。以上、今年度の検討によりC型慢性肝疾患における肝細胞障害、肝病変進展、発癌の機序が大まかに明かになりつつあるが、次年度において詳細な検討を続ける必要がある。
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