研究概要 |
膵炎および膵再生におけるコレシストキニン(CCK)の関与を研究する目的で、CCKの転写、翻訳後調節を、セルレイン-ストレス誘発慢性膵炎にて検討している。慢性膵炎はセルレイン20ug/kgを腹腔内投与して5時間の水浸拘束を週2回負荷して作成した。 (1)慢性膵炎が組織学的にも生化学的にも確立される16週、32週処置群で、その十二指腸粘膜内CCK含量を測定した。沸騰水及び酸で抽出したペプチド分画のCCK生物活性を測定すると、16週では処置群、非処置群でそれぞれ9.3±2.1,9.2±1.8mol/g tissue(Mean±SE)と差を認めず、32週でもそれぞれ5.2±1.0,4.7±1.3と差を認めなかった。しかし加齢で低下する傾向が示された。また同一サンプルを中性条件下にRP-HPLCにて分離し、CCK-8N端特異的抗体OAL-656を用いて、CCK-8,CCK-33とそれぞれの近傍にCCK免疫活性を検出しており、その分子種の同定と膵炎時の変動を検討中である。 (2)CCKおよびCCK受容体の慢性膵炎における発現を検討する目的で、正常ラットの新鮮十二指腸粘膜および膵100mgを材料としてIsogen法にてRNAを抽出し、それぞれのcDNAをRT-PCR法にて作成し、これを定量的に検出することが出来た。今後、新たに慢性膵炎を作成して、CCKおよびCCK受容体の発現を検討し、生物活性、免疫活性をあわせて測定し、CCKの各分子種をRP-HPLCによって分離する予定である。本研究によって膵炎および膵再生時に生合成分泌される活性CCKおよびその前駆体の病態における変動と、これに対応するCCK受容体の変動が明らかになると期待される。
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