研究課題/領域番号 |
06670568
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
高後 裕 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (10133183)
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研究分担者 |
加藤 淳二 札幌医科大学, 医学部, 助手 (20244345)
根田 寛 札幌医科大学, 医学部, 講師 (80237809)
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キーワード | LECラット / エタノール代謝 / アルコール脱水素酵素 / アルデヒド脱水素酵素 / 点突然変異 / エタノール中毒 / チトクロームP4502E1 |
研究概要 |
H6年度の研究では、LECラットにおける、1)エタノール代謝動態、2)エタノール代謝関連酵素活性の測定、3)エタノール投与後の生化学的検査および組織学的検討を行った。 ラット腹腔内にエタノール(2g/kg)を投与し、血中エタノールおよびアセトアルデヒド濃度を経時的に測定した結果、LECラットでは対照のWistarラットに比べてエタノールおよびアセトアルデヒド代謝が有意に遅延していた。とくにLECラットにおけるアセトアルデヒド濃度はエタノール投与5時間後でもWistarの3-5倍と著明に高値であった。又、LECラット肝より調製したミトコンドリア分画のアルデヒド脱水素酵素(ALDH)活性、とくにlow Km ALDHはWistarラットの25%に低下していることが明らかとなった。さらにALDH-2遺伝子のsequenceを行った結果、LECラットではcodon 67にGlnからAlaへのアミノ酸置換を伴う点突然変異が存在することも併せて明らかにした。すなわち、LECラットではALDH-2遺伝子に変異が存在するためにlow Km ALDHが不活性型となり、エタノール投与により容易に高アセトアルデヒド血症をきたすものと推定された。一方、LECラットをエタノール添加Lieber食で飼育すると平均7日間で死亡するが、死亡時の肝、腎、脳、心の組織変化は軽微であり、また生化学的検査でも著明な変化はみられなかった。従ってその死因は、アセトアルデヒドの中枢神経系の抑制作用による可能性が示唆されるが、実際の死因の特定には更なる検討が必要であると考えられる。 H7年度は、上述したようにLECラットにエタノールを投与した際のエタノールの消失動態も遅延していたことから、アルコール脱水素酵素にも異常が存在する可能性が考えられ、当初の計画と併せて検討したい。
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