研究概要 |
7週令のWistar系雄性ラットを一晩絶食後、L-アルギニン-塩酸塩4.5g/kg体重を単回腹腔内投与し、急性膵炎を作成した。急性膵炎作成後、0,0.25,0.5,1,3,5,7,9,11,14日目に、絶食後、BrdU 20mg/kg体重を静脈内投与し、1時間後採血屠殺した。膵を摘出し、4%パラホルムアルデヒド(PFA)とメタノール(MET)に4℃12時間固定後、パラフィン包埋した。PCNA(Novocastra),BrdU(Becton)抗体を用い、Immunogold-silverstainingにて染色し、counterstainにH.E.染色を施し、永久標本とした。この方法により、残存あるいは再生した膵腺房細胞を明瞭に識別でき、腺房細胞1000個あたりの陽性細胞の百分率をlabeling index(L.I.)とした。同時にBioassay法にて血漿CCK生物活性を測定した。PFA固定のPCNA染色は組織学的に壊死がおこる以前の0.5日目に高い陽性率(15.53±1.85%)を示した。その後、3日目にはL.I.はcontrol levelに戻り、7日目に27.76±5.63%と高値を示し2峰性となった。MET固定のPCNA L.I.は5日目にピーク値14.45±3.64%をもつ1峰性となり、その経時的変化はBrdUのそれと極めて近似していた。アルギニン膵炎全経過におけるL.I.の一時相関ではMET固定のPCNAとBrdUとの間に強い相関(r=0.808)がみられた。血漿CCK生物活性は組織学的に腺房破壊が最も強い3日目に9.91±1.50pMと著明な高値をとり、以後低下するも11日目まで高値を持続し、14日目にcontrol levelに復した。生化学・組織学的に回復期とみなされる7,9,11日の血漿CCK生物活性をBrdU L.I.と対比すると有意な一次相関が得られた(r=0.555,p=0.0024,n=35)。
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