ラットではCCKを介した膵外分泌のfeed back regulationが存在し、それを調節する因子としてtrypsinにsensitiveなCCK-releasing peptide (CCK-RP)の存在が予測されている。本研究は、CCK-RPを分離、精製し、それにより膵外分泌の調節機構を明らかにすることを目的として行われた。初めに、高純度精製に必要な精度の高いCCK分泌活性測定系を確立するため、ラット単離小腸粘膜細胞や小腸腫瘍由来培養CCK分泌細胞であるSTC-1細胞を用いたCCK分泌活性の測定系についての検討を行った。次に、これらの系を用いラットの小腸灌流液よりCCK分泌作用を持つfractionを分離し、CCK-RPの部分精製を試みた。部分精製されたCCK-RPはtrypsinにて処理をすることにより、その活性を失った。また、CCK-RPによるSTC-1細胞のCCK分泌はcalcium依存性であった。以上の結果から、STC-1細胞を用いた系によりCCK-RPの分離、精製が可能と考え、それを試みたが完全な精製には至らなかった。しかし、これらの過程で胆汁酸や脂肪などもCCKの分泌に関与することが明らかになり、脂肪負荷時の膵外分泌に対する胆汁の役割を明らかにする目的でvivoのラットを用いた実験も行った。その結果、胆汁が存在しなくても脂肪負荷によりCCK分泌および膵外分泌は刺激され、脂肪による直接のCCK分泌刺激作用があることが明らかになった。CCKの分泌は種々の因子が複雑に絡み合って調節されており、今後も詳細な検討が必要と考えられた。
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