研究概要 |
本年度の研究計画であるリンパ球表面のbcl-2およびFasに関する分析をtwo color Flowcytometryにより実施した.リンパ球の固定条件の制約により本年度は末梢血における分析にとどまったが,承諾の得られたC型慢性肝炎(CHC)16症例,B型慢性肝炎(CHB)3症例,自己免疫性肝炎(AIH)2症例,原発性胆汁性肝硬変(PBC)2症例および健常人3人について解析が得られた.%Fas/CD4陽性細胞および%Fas/CD8陽性細胞数は健常人ではそれぞれ15%,12%程度認められたのに対し疾患群では症例によりばらつきはあるものの20%以上を示し,特に%Fas/CD4陽性細胞は時に30%以上と有意の増加を示した.これに対し,bcl/CD19陽性細胞数は検討した全症例で10%内外で変動は認められなかった.これらFlow cytometryによる分析結果と血中自己抗体、免疫複合体,免疫グロブリン,肝機能などの臨床検査,および組織学的検索との関連での検討では,一定の傾向は認められなかった.一方,前年度に実施した肝内浸潤自己反応性クローンの分析においては,シーケンス解析により,自己免疫性肝炎の活動期には一定のシーケンスが用いられ、病態の鎮静化に従いこのクロナリティーは認められなくなる傾向が観察された.また,従来より検討を進めてきたCHCにおける血中免疫複合体特にC3d捕捉免疫複合体の上昇はC型肝炎ウイルスの高度変異領域の変異数およびアミノ酸変化と関連することを明らかにした.
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