研究課題/領域番号 |
06670591
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
内藤 雄二 関西医科大学, 医学部, 講師 (30198014)
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研究分担者 |
城 知宏 関西医科大学, 医学部, 助手 (40257928)
関 寿人 関西医科大学, 医学部, 講師 (70163087)
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キーワード | インテグリン / ヒト肝癌細胞 / 癌転移 / 転移抑制 / 合成オリゴペプチド |
研究概要 |
1.生検、手術あるいは剖検によって得られた肝癌組織を材料とし、抗インテグリンサブユニット抗体を用いた免疫組織化学的方法によりインテグリンの発現を観察した。肝癌原発巣および転移巣にそれぞれ質的、量的に異なるサブユニットが検出されたが、非特異的反応による結果を除外する必要性があると考えられた。インテグリン遺伝子の発現については、各サブユニットに特異的なcDNAプローブを作製しmRNAの発現を検索した。さらにPCR法による追加実験も行い、肝癌細胞に選択的なインテグリンが発現している可能性が示唆された。 肝癌細胞の悪性度の評価は、AgNOR数およびその形態の観察が従来法よりも有用であるとの結論を得た。AgNORは肝癌細胞の増殖能をより良く反映し、また患者の臨床的背景(特に転移と予後の因子)と良く相関した。 2.血行性転移モデルの作製のため、樹立された培養肝癌細胞株のインテグリンサブユニットの発現を検討したところ、細胞株による若干の相違が見い出された。またこれらの細胞株の転移様式は複雑に異なっていた。adhesion assayの結果も、細胞株のインテグリン発現パターンの相違により細胞外基質(ECM)への反応性が異なっていることを示した。 オリゴペプチドを用いた転移抑制実験により、肝癌細胞の実験的血行性転移を抑制するにはlinearよりもcyclicなオリゴペプチドが強力であることが示唆された。しかしながら、試みたオリゴペプチドでは転移を完全阻止することは不可能であった。 以上の実験結果により、インテグリンが癌細胞の転移に複雑に関与していることが明らかにされ、転移能のマーカーとしてインテグリンが有用である可能性が示唆された。
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