研究課題/領域番号 |
06670593
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
豊永 純 久留米大学, 医学部, 教授 (00098881)
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研究分担者 |
池上 素樹 久留米大学, 医学部, 助手 (70248368)
於保 和彦 久留米大学, 医学部, 助手 (80248369)
角野 通弘 久留米大学, 医学部, 助手 (30196919)
岩尾 忠 久留米大学, 医学部, 助手 (10193715)
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キーワード | Portal hypertensive gastropathy(PHG) / プロプラノロール / 門脈圧亢進症 / ガストリン / レーザードップラー法 |
研究概要 |
Portal hypertensive gastropathy(PHG)におけるプロプラノロールの有効性の機序 【研究背景並びに目的】PHGは門脈圧亢進症患者において、非静脈瘤性出血の主因となっている。この病態に関しては、門脈圧亢進症とガストリンの血管拡張作用に起因する胃粘膜充血が重要視されている。一方、治療においてはプロプラノロールが有効と報告されているが、この機序については不明である。今回の研究の目的は、この点について言及することにある。 【対象と方法】 内視鏡的にPHGを認めた肝硬変症患者18名を対象とした。彼らを無作為にプロプラノロール投与群(n=9)とプラセボ投与群(n=9)に振り分けた。治療前後(1週間)で胃粘膜血流(レーザードップラー法)並びに血中ガストリン値を測定した。プロプラノロール投与群においては、安静時心拍数を約20%減少せしむる量まで調節した。なお、胃粘膜血流の測定においては、術者は投薬の内容は知らずに施行した。 【結果】 プロセボ投与群は胃粘膜血流、血中ガストリン値の両者とも変化しなかった。一方、プロプラノロール投与群では、前庭部で0.88±0.28Vから0.73±0.26V(P<0.05)、体部で0.94±0.35Vから0.78±0.25V(P<0.05)と有意に胃粘膜血流は減少した。しかしながら、血中ガストリン値は変化しなかった。 【結語】 プロプラノロールのPHGに対する有効性は、血行動態学作用による胃粘膜充血の緩和に基づくものと示唆された。一方、ガストリンの低下に起因する液性因子の関与は少ないものと思われた。 この論文はDigestive Diseases and Sciences 1994;39:2433-2438に掲載された。
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