本年度の研究では、インターフェロン治療抵抗例からC型肝炎ウイルスを抽出し、その配列を比較検討することを目的として研究を行った。難治例としてαインターフェロンを3回投与したにもかかわらず治癒しなかった症例と、βインターフェロンを6ケ月連日投与したにもかかわらず治癒しなかった症例の2例についてまず検討を行った。インターフェロン治療前後に得られた血清からC型肝炎ウイルスRNAを抽出し、逆転写後、polymerase chain reactionによりcDNAを増幅し、その全塩基配列を決定した。また、同時にインターフェロンの治療効果がまだ明らかにされていないgenotype3b型のC型肝炎ウイルスの全塩基配列を決定し、各genotype間での変異についても検討した。これまでの少数例の検討では、このgenotypeはインターフェロン抵抗性であることが想定されている。上記の2症例から得られたウイルスのインターフェロン前後のアミノ酸配列を比較すると、E2、NS2、NS5A領域に多数のアミノ酸変異が見いだされた。これらの変異はgenotype間でそのアミノ酸配列を比較した際に見られる高変異部位にほぼ一致していた。しかし、これら2例で共通のアミノ酸の変異はE1領域に1カ所認められるのみであった。そこで、これらの変異が難治例に特徴的な変化であるかどうかを確認するために、強力なインターフェロン治療を行ったにもかかわらず治癒しなかった症例と治癒した症例各5例のこの部位のアミノ酸配列を現在決定し、このアミノ酸の変異がインターフェロン治療抵抗性と関連があるかどうかについて検討を行っている。
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