研究概要 |
1.気管支喘息患者肺での成長因子および成長因子受容体発現の検討: 気管支喘息患者7例の手術肺および剖検肺と肺疾患を持たない患者8例の剖検肺を用いて、Epidermal Growth Factor(EGF)とEGF receptor(EGFR)をそれぞれの特異抗体を用いたABC法とABC-AP法を持いて染色した.気道平滑筋でのEGF染色陽性例は、気管支喘息では85%に、対照群では23.8%であり、気管支喘息群で有意に多かった.また、EGFRも気管支喘息群での陽性率が有意に高かった.これらの結果から、気管支喘息患者の気道平滑筋肥大・増生にEGFが関与している可能性が示唆された. 2.モルモット気道平滑筋に対するEGF,PDGFの効果: EGFは気道上皮を剥離したモルモット気道条片を濃度依存性に収縮した.気道上皮を持つ条片では、その収縮が抑制され、これは上皮細胞からのプロスタグランディンE2の産生によるものであることが明らかになった.また、EGFはチロシンキナーゼ活性化を介してフォスフォリパーゼA2を活性化しアラキドン酸の遊離を促し、これから生じるプロスタグランディンやロイコトリエンにより平滑筋の収縮が惹起されることが明らかになった.PDGFには気道平滑筋収縮作用は認められなかった.
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