研究課題/領域番号 |
06670623
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研究機関 | 大分医科大学 |
研究代表者 |
那須 勝 大分医科大学, 医学部, 教授 (70039874)
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研究分担者 |
後藤 陽一郎 大分医科大学, 医学部, 助手 (70225671)
山崎 透 大分医科大学, 医学部, 助手 (60239928)
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キーワード | 緑膿菌 / biofilm / sub-MIC / マクロライド |
研究概要 |
緑膿菌はマクロライド薬の最小発育阻止濃度以下の濃度(sub-MIC)との接触でアルギン酸産生及びglycocalyx産生が抑制され菌体周囲のbiofilm形成が減少することを明らかにした。ムコイド型緑膿菌及び非ムコイド型緑膿菌に対する好中球の貧食・殺菌能がマクロライド薬の作用によりbiofilm形成を減少させることによっていかなる影響をうけるかを研究した。 非ムコイド型緑膿菌をsub-MICのマクロライド薬及びdrug-free下のシリコン片上にそれぞれ培養し、各biofilm菌に対するヒト好中球貧食・殺菌能をFlow cytometry及びケミルミネッセンス反応により測定し比較検討を行なった。Drug-free下に作成したbiofilm菌は、flow cytometryによる好中球貧食能、ケミルミネッセンス反応による好中球貧食・殺菌能ともに亢進することが明らかになった。さらにムコイド型緑膿菌でもsub-MICのマクロライド薬及びdrug-free下にてbiofilmを形成し各biofilm菌に対するヒト好中球貧食・殺菌能を測定し比較したところ非ムコイド型緑膿菌と同様の結果が得られた。これまでの研究で緑膿菌はsub-MICのマクロライド薬との接触でglycocalyx及びアルギン酸産生性が減少し、電子顕微鏡による形態観察でもbiofilm形成が低下することが明らかにされている。今回の実験でムコイド型、非ムコイド型緑膿菌ともに低濃度のマクロライド薬との接触によるbiofilm形成の低下はbiofilmにより抑制されていた好中球の貧食・殺菌能を亢進させることが明らかになった。
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