研究課題/領域番号 |
06670648
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
宮嶋 裕明 浜松医科大学, 医学部, 助手 (90221613)
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研究分担者 |
米村 克彦 浜松医科大学, 医学部, 助手 (40252176)
清水 貴子 浜松医科大学, 医学部, 助手 (90206201)
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キーワード | セルロプラスミン / アポセルロプラスミン欠損症 / 遺伝子異常 / 鉄代謝 / 脂質過酸化 / チオバルビツール酸反応物質 |
研究概要 |
セルロプラスミンの前駆対であるアポセルロプラスミンの欠損症は新たな遺伝子異常症と考えられ、鉄代謝異常を来たし脳と肝臓を中心とする体内の鉄過剰蓄積を生じ、神経症状などを呈してくる。我々の発表以後セルロプラスミンの欠損と体内の過剰鉄蓄積を来した神経疾患の報告は9家系(本邦7家系、国外2家系)あるが、遺伝子異常の検討および活性酸素との関連についての検討は報告されていない。今回我々は、本疾患における遺伝子レベルの異常を調べるとともに、蛋白レベルでのセルロプラスミンの機能を鉄イオンによる活性酸素の発生阻止という生体防御機構という点から検討を行った。その結果、1.アポセルロプラスミンの遺伝子異常は、第7エキソンのアミノ酸410に相当する部位の5塩基対の挿入であることが判明した。このためフレームシフトが生じて正常よりも短いopen-reading frameを形成することになる。ゲノム DNAの第7エキソンに相当する部位のPCR解析では、家族内で酵素活性上ヘトロ接合体と考えられる患者では正常の長さと5塩基対長い2本のバンドが認められた。2.血清の総鉄酸化能はhomozygoteで正常の約10%,heterozygoteで約60%であった。フェロオキシダーゼII活性はいずれも正常の約10%であり、フェロオキシダーゼIIの代償性の増加は認められなかった。3.過酸化脂質の指標であるチオバルビツール酸反応物質(TBARS)は、銅イオン添加前の血清では患者において正常対照に比較し明らかに高値を取った。また添加後のTBARSの産生増加も有意に認められた。これらは、本疾患の脂質過酸化の亢進を示唆した。今後は、この異常遺伝子の発現について検討していく予定である。
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