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1995 年度 実績報告書

家族性アポセルロプラスミ次損症の遺伝子異常と脂質過酸化

研究課題

研究課題/領域番号 06670648
研究機関浜松医科大学

研究代表者

宮嶋 裕明  浜松医科大学, 医学部, 助手 (90221613)

研究分担者 清水 秀昭  浜松医科大学, 医学部・附属病院, 助手 (70270981)
キーワードセルロプラスミン / 鉄 / 遺伝子異常 / チオバルビツール酸反応-陽性物質 / 脂質過酸化
研究概要

我々は、成人発症の神経症状、網膜変性、糖尿病を呈し体内の鉄過剰蓄積を来す、血清セルロプラスミンの欠損が原因と考えられる新たな鉄代謝異常症を世界で初めて見出した。そこで今回は、本疾患の原因と考えられるセルロプラスミンの遺伝子異常について検討した。また本疾患の症状の発現を解明する上で、血中の主要な抗脂質過酸化作用を呈するセルロプラスミンの消失と脂質過酸化の促進因子である鉄の蓄積による、フリーラジカル産生促進を介した脂質過酸化の亢進が関与することが予想された。そこで血漿のチオバルビツール酸反応陽性物質(TBARS)を指標とし、脂質過酸化について検討した。
その結果、本家系においてセルロプラスミン遺伝子のエキソン7の5bpの挿入が同定された。この異常はアミノ酸410の位置にTACATが挿入されており、このためフレームシフトが起こって446アミノ酸の位置でpremature terminationが生じることになる。従って本疾患では通常のセルロプラスミン蛋白の約1/2の大きさの異常蛋白が発現すると考えられ、異常蛋白は分解されやすく血中のセルロプラスミンが欠損することになると考えられた。
本家系のホモ接合体3名、ヘテロ接合体8名および正常対照12名の血漿のTBARSを測定するとともに、血漿に銅イオン、銅イオン+過酸化水素をそれぞれ添加してTBARSを測定した。さらにセルロプラスミンを事前に添加してTBARSに対する抑制作用を検討した。その結果、基礎値の血清セルロプラスミン濃度とTBARSは逆相関しており、銅イオンや過酸化水素の添加で、ホモ接合体において著明なTBARSの増加を認めた。この増加は事前に外来性のセルロプラスミンを添加することで約65%以上抑制された。
以上より本疾患はセルロプラスミンの遺伝子異常を原因とした常染色体劣性遺伝をとり、脂質過酸化の亢進が症状発現の上でなんらかの関与をしていることが明らかとなった。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] Harris ZL,et al.: "Accrubulasminenia: mole cular characterization of a novel disorder of iron metabolism." Proc Natl Acad Sci. 92. 2539-2542 (1995)

  • [文献書誌] Takahashi Y,et al.: "Characterization of a nonseuse mutation in the ceruloulasmin gene resulting in diaketes and ncuro olegenerative disease." Hum Mol Genct. 5. 81-84 (1996)

  • [文献書誌] Miyajima H,et al.: "Increased plasma lipid peroxidation in patients with a ceruloplasminemia." Free Radic Biol Med. (in press). (1996)

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公開日: 1997-02-26   更新日: 2016-04-21  

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