〔目的〕側頭葉てんかん患者のうちてんかん外科治療の第一の適応である内側側頭葉硬化例とその他の症例の非浸襲的かつ簡便な弁別方法を開発する。〔対象〕従来の脳波所見でF7/F8、T3/T4またはLAT/RATに突発波を示した側頭葉てんかん患者で、病歴、発作型および側頭葉撮像法を用いた頭部MR所見から内側側頭葉硬化(以下MTS)5例とその他(以下MTS以外)の5例である。〔方法〕従来の脳波電極配置である10-20法およびGibbs法のLAT/RATに加えて、10%電極法のうちF7/F8とT3/T4との中間点FT7/FT8、およびF7/F8、FT7/FT8、T3/T4よりそれぞれ10%下位のF9/F10、FT9/FT10、T9/T10の電極を装着して脳波を記録し、データ処理を行い、出現した突発波5個の先行部位および振幅を計測した。〔結果〕1.5個の突発波が10-20法と10%電極法のいづれの電極で最大振幅または先行部位を示したかを検討した結果、振幅はMTSでは10%電極法の電極で最大振幅を示す突発波が半数以上であったが、MTS以外では10-20法の電極で最大振幅を示す突発波が半数を占めた。先行部位はMTSでは10%電極法の電極部位またはLAT/RATで先行を示した突発波が2/3を占めたが、MTS以外では先行部位を認めない突発波が半数であった。 2.各電極ごとに5個の突発波が最大振幅または先行部位を示した回数について検討した。振幅はMTSでは下〜前側頭部電極で最大振幅を示す突発波が多いのに対し、MTS以外では中〜前側頭部電極で最大振幅を示す突発波が多かった。先行部位はMTSでは下側頭部電極で先行部位を示す突発波が多く、MTS以外では先行部位を認めない突発波が多かった。〔結論〕10-20法の電極配置に10%電極法の側頭部電極を加えて脳波を記録することにより内側側頭葉硬化を伴う側頭葉てんかんとその他の側頭葉てんかんを弁別することが可能であることが示唆され、ひきつづき症例を増やして検討している。
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