研究概要 |
〔目的〕小児期発症側頭葉てんかん患者のうちてんかん外科治療の第一の適応である内側硬化群をその他の群から非侵襲的かつ簡便に弁別するために頭皮上脳波の基礎律動について検討する。 〔対象〕小児期に発症し、片側側頭葉焦点を有する側頭葉てんかん患者を、内側硬化病変を認める(MTS群)12例と病変を認めない(非MTS群)12列に分類した。 〔方法〕突発性異常波の混入しない安静閉眼覚醒時脳波をデータレコーダーに収録し、左側焦点の場合には左右の電極位置を入れ替え、シグナルプロセッサー7T17を使用して、12チャンネル60秒間の脳電位分布を作成し、Significance probability mappingのt検定(t-SPM)を用いて二群で比較した。周波数帯域はDelta1(2.0-2.8Hz),Delta2(3.0-3.8Hz),Theta1(4.0-4.8Hz),Theta2(5.0-5.8Hz),Theta3(6.0-7.8Hz),Alpha(8.0-12.8Hz)とした。 〔結果〕1.非MTS群ではMTS群に比べ、焦点側側頭部のDelta1、2およびTheta1が有意に増加していた(p=0.05)。またDelta2およびTheta1は対側側頭部でも有意に増加していた(p=0.05)。15EA05:2.MTS群では非MTS群に比べ、焦点側側頭部のAlphaが有意に減少していた(p=0.01)。また両側前頭部でも有意に減少していた(p=0.05)。 〔結論〕今回の安静閉眼覚醒時脳波の検討では非MTS群の焦点側での徐波帯域の増加とMTS群の焦点側でのAlpha帯域の減少が認められ、MTS群と非MTS群では頭皮上脳波の基礎律動にも病変の差異が反映することが明らかになった。今後MRI、FDG-PETとの相関について検討する予定である。
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