研究概要 |
〔目的〕小児期発症側頭葉てんかん患者のうち、てんかん外科治療の第一の適応である内側硬化群の頭皮上脳波の基礎律動とポジトロンCT(PET)のブドウ糖代謝量との関連について検討する。 〔対象〕小児期に発症し、MRIで片側海馬の萎縮が認められ、内側硬化病変が疑われた側頭葉てんかん患者11例を対象とした。 〔方法〕突発性異常波の混入しない安静閉眼覚醒時脳波をデータレコーダーに収録し、シグナルプロセッサー7T17を使用して、12チャンネル60秒間の脳電位分布を作成し、各チャンネルごとの脳電位を計測した。周波数帯域はDelta 1 (2.0-2.8Hz),Delta 2 (3.0-3.8Hz),Theta 1 (4.0-4.8Hz),Theta 2 (5.0-5.8Hz),Theta 3 (6.0-7.8Hz),Alpha (8.0-12.8Hz)とした。PETは^<18>F-フルオロデオキシグルコースを用い、セミコロナル画像を撮像し、前頭葉外側および底部、側頭葉外側および内側、基底核、小脳に円形の関心領域を設定し、各部位のブドウ糖代謝量をオートラジオグラフィ法を用いて算出した。 〔結果〕側頭葉および前頭葉のブドウ糖代謝量は対側に比べ焦点側で低く、前頭部のDelta 1,Delta 2の脳電位は対側に比べ焦点側で高く、前頭・中心部のTheta3および中心・後頭部のAlphaの脳電位は対側に比べ焦点側で有意に低かった。前頭葉および側頭葉のブドウ糖代謝量と前頭部のDelta 1,Delta 2の脳電位とは負の相関を示し、側頭葉のブドウ糖代謝量と後側頭・後頭部のTheta 3の脳電位とは正の相関を示した。 〔結論〕側頭葉てんかん患者に認められるPET上のブドウ糖低代謝域は神経生理学的異常を反映していることが示唆された。
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