血清アポリポ蛋白E(ApoE)のアイソフォームとアルツハィマ-型痴呆の関連を検討しました。健常対象群には、て巡回健康診断を受診した成人398名の血清を使用した。内訳は男57名、女341名で年齢は28-80歳(平均年齢53歳)であった。ApoEの表現型は、E2/2 1例、E3/2 35列、E3/3 283例、E4/2 6例、E4/3 72例、E4/4 1例でE4の出現頻度は19.8%であった。 痴呆群は26名で、その内訳は初老期痴呆(AD)8例(50〜67歳、平均63歳)、老年痴呆(SDAT)8例(68〜85歳、平均年齢76歳)、脳血管性痴呆(VD)10例(61〜84歳、平均年齢69歳)であった。ApoEの表現型はADではすべてE3/3 2例、E4/3 2例、E4/4 2例、VDではE3/3 4例、E4/2 1例、E4/3 5例で、E4の出現頻度はAD O%、SDAT75%、VD 60%であった。 本研究で得られた健常者群のE4出現頻度は、本邦・外国での従来の成績とほぼ一致した。痴呆群ではSDATとVDでE4の出現頻度が高かったのに対して、ADではゼロであった。E4は老年期痴呆性疾患の危険因子の1つてある可能性がある。ApoE表現型の面からはSDATとADは同質ではないと考えられた。しかし現時点での痴呆群の検体数は少なく、そのApoE4表現型・E4の出現頻度について統計的検討を満たす数に達していないので、痴呆患者の検体収集に努めている。
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