研究課題/領域番号 |
06670654
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
中島 健二 鳥取大学, 医学部, 教授 (70144673)
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研究分担者 |
難波 栄二 鳥取大学, 遺伝子実験施設, 助教授 (40237631)
足立 芳樹 鳥取大学, 医学部・附属病院, 助手 (80243385)
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キーワード | 家族性筋萎縮性側索硬化症 / SOD1 / 遺伝子 / 銅イオン |
研究概要 |
山陰における家族性筋萎縮性側索硬化症(FALS)大家系について検討し、平成7年度には以下の成果を得た。 1.患者組織中異常SOD1蛋白の活性染色およびWestern blotによる検出についての検討 病理解剖を施行された患者組織中について検討し、両法において異常SOD1蛋白の存在は証明され得なかった。また、患者組織においては正常なSOD活性が約2/1に減少していた。すなわち、患者組織においては異常SOD1は存在せず、正常SOD1活性の低下のみが観察された。 2.患者皮膚線維芽細胞における異常SOD1のmRNAの検出についての検討 患者皮膚より採取して培養した線維芽細胞において、異常SOD1遺伝子に由来すると考えられるmRNAが検出された。このことから、異常SOD1は翻訳された以降の段階で異常SOD1が減少ないしは消失していると考えられた。 3.組織における銅イオン量 上述の検討から、異常SOD1は生成されているとしもただちに分解されて生体中に存在し続けれない可能性が考えられた。SOD1活性低下と共に、この異常SOD1の分解産物により運動神経細胞障害が生ずる可能性も考えられる。以前より、銅イオンの細胞障害が指摘されている。そこで、異常SOD1の分解により銅イオンが放出され、この銅イオンが神経細胞を障害する可能性が考えられた。このような観点から、銅イオンが患者組織において増加しているか否かをDDCによる阻害程度により検討した。DDCによる阻害は赤血球では患者、対照とも差を認めなかった。しかし、脳組織では患者においてDDCによるSOD1の阻害は軽度であった。すなわち、患者脳においてDDCにキレートされるSOD1以外の銅イオンが増加している可能性が示唆された。copper-phenanthroline assayを用いた銅イオン濃度は、FALS患者は対照群に比して明らかに増加していることが示された。
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