平成7年度は若年成人発症パーキンソン病(YOPD)群8名、パーキンソン病(PD)18名、対照群55名(PDではない70歳以上の高齢者13名を含む)のゲノムDNAのCYP2D6遺伝子の変異のうち、Smithらの方法に従いB変異を、Tuneokaらの方法に従いエクソン6の中のHhaIRFLPを分析した。欧米ではCYP2D6のB変異ホモのpoor metaboliser頻度がPDで有意に多く、CYP2D6がPDの危険因子と考えられているが、日本人ではこの変異の頻度はきわめて少なく、われわれのYOPD例にもB変異が認められず、CYP2D6とPDとの関連を評価するのには不適当であった。 そこで日本人で変異の頻度が高いと報告されたエクソン6内のHhaIRFLPを分析した。その結果、YOPDおよびPD群とも、PDで多いとされる変異ホモの型が認められず、遺伝子ハプロタイプの分布も対象との間に有意差を認めなかった。最終的な結論を得るためにはさらに多数の検討が必要であるが、CYP2D6エクソン6内の変異はYOPDにおいてもPDにおいても一般的な発症の危険因子と言えないと考えられた。
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