研究概要 |
今年度の我々の研究から、FAP患者循環血液中の異型トランスサイレチン蛋白の一部がリポ蛋白(HDL,LDL)と結合し血中を循環していることが明かにされた。そこで、このリポ蛋白結合型トランスサイレチン(異型トランスサイレチン)の定量を試みたところ、血中の0.3%の異型トランスサイレチンのみの存在(正常トランスサイレチンは同定されず)が証明された。本現象は、Swedenから供与された高齢発症患者の及びItalyから送られたMet30以外に変異を持つFAP患者でも確認された(Gln89,Pro36,及びThr34)。さらに遺伝子を組み込んだ大腸菌より抽出した正常及び異常のトランスサイレチンと抽出LDLとのSephacryls-200カラムを用いた結合実験では明らかに異型のトランスサイレチンのLDLに対するaffinityが増加していた。 FAP患者5名においてSweden Huddinge病院及びAustralia Brisbane Princess Alexandra病院にて脳死肝移植が施行された。経過は移植後5カ月から2年たった現在、いずれも順調で、昨年我々が報告した如く、本治療によりとりわけ自律神経障害改善効果が認められることが再確認された。 今回購入した低温恒温水槽機により既知(Met30)及び未知のmutationをもつFAP患者をPCR-SSCP法によりスクリーニングすることに成功した。
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