研究概要 |
視覚系の刺激による誘発反応には、網膜電図(ERG)、大脳誘発電位(VEP)、図形や文字の認知に関連する事象関連電位(ERP)の3種類がある。これら3つを駆使した検査システムを多モダリティー視覚誘発電位と定義する。平成6年度から7年度にかけて、以下の3つの内容について研究成果をあげた。(1)Ganzfeld型フラッシュERGの正常波形ならびに糖尿病性網膜症への応用:暗順応下におけるrodERG,明順応化におけるconeERGの正常波形の潜時・振幅を分析。糖尿病性網膜症への応用を試みた。(2)パターンリバーサルERG,VEPの正常波形ならびに臨床応用:多数の正常例でのERG・VEPの潜時を振幅が年齢や性とどのようにかかわっているかを詳しく分析した。多発性硬化症などへの臨床応用をおこなった。(3)視覚性事象関連電位の正常波形と臨床応用:図形によるオド・ボール課題と対刺激課題に対して、頭皮上からVEP(正中後頭電極)とERP(Cz,Pz電極)を同時記録する方法を確立した。正常対照例ではCz,PzよりN200,P300を主要成分とするERPが記録され、OzからはN100,P100を主要成分とするprimaryVEPが記録された。パーキンソン病、脊髄、小脳変性症、アルツハイマー病、脳血管障害など各種中枢神経疾患に上記方法を応用したところ、パーキンソン病やアルツハイマー病でN200,P300の振幅低下や潜時延長が認められ、認知機能障害を客観的に示唆する所見と考えられた。
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