研究課題/領域番号 |
06670666
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
天野 隆弘 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (90118901)
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研究分担者 |
高橋 一司 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80236265)
村松 和浩 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20230005)
小原 克之 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (40169363)
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キーワード | 脳循環自動調節 / Nitric Oxide / L-NMMA / L-Arginine |
研究概要 |
(はじめに)脳循環の自動調節におけるNO生成系の関与を明らかにするため、NO生成阻害剤であるL-NMMAならびにNOを生成するL-arginine (L-arg)を用いて検討した。 (方法)実験には猫15匹を用いた。麻酔後、脳表においた頭窓を介して、ビデオカメラ法による脳表血管口径連続記録ならびにsilicon photodiode法による脳局所血液含量(CBV)連続記録を行った。股動脈に挿入したカテーテルから血液を脱血、再注入して全身血圧を変動させた。この際の血管口径、CBVの変化から脳循環自動調節能を検討した。自動調節能は血圧変動時の口径変化を平均動脈血圧1mmHgあたりの血圧変化で除した値(VMI)で評価した。先ず、コントロールとして薬剤投与前に自動調節能を評価した。ついで、L-NMMA 25mg/kgを12分間舌動脈をへて脳血管内に注入投与しL-NMMA投与終了直前に脱血、再注入を行い自動調節能を検討した。さらにL-arg 500mg/kgを股動脈から投与してL-NMMA投与によるNO産生抑制を回復させた後再び自動調節能を評価した。 (結果)自動調節に重要な役割があることが知られる太い脳軟質血管のVMIは以下のようになった。脱血時にはコントロール0.67±0.13がL-NMMA投与によって0.30±0.15となりL-arg投与後は0.72±0.24に回復した。血液再注入時のVMIはコントロール0.71±0.14、L-NMMA投与時0.06±0.15、L-arg投与後には0.55±0.62と変化した。これらのL-NMMA投与中、L-arg投与後のVMI変化は何れも統計学的に有意であった。CBVもVMIと同様に変化した。 (まとめ)以上、脳循環自動調節はL-NMMA投与によるNO産生抑制で障害され、L-arg投与でNO産生を回復させると再び正常に回復した。従って、脳循環自動調節には脳血管でのNOが重要な役割を果たしていることが明らかになった。
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