研究概要 |
(1)腎不全高血圧モデルラットにACE障害薬imidapril、AII受容体拮抗薬losartan、Calcium拮抗薬amoldipineを長期投与して心血管肥大・増殖、腎保護作用に対するこれらの薬剤の効果を検討し、これら3薬剤は同等の降圧作用を呈する量では同等の心肥大抑制、腎組織保護作用を有することが判明した。(2)このモデルにキニン阻害薬Hoe140とACE阻害薬cilazapril投与し、ACE阻害薬の心・血管の肥大増殖抑制作用がkallikrein-kinin系の賦活ではなくR-A系の阻害でほとんど説明可能であることが判明した。(3)このモデルにerythropoietin (EPO)を4週間投与し血圧、腎機能及び心・血管肥大増殖への影響を検討しEPOがhematocritを増加させない量で血管収縮作用を有し、腎機能を悪化させうることが判明した。(3)糖尿病腎不全モデルラットにACE阻害薬captopril、A(監)受容体拮抗薬losartanを長期投与して組織R-A系を抑制し、心・血管の肥大増殖への影響を検討した。その結果losartanはlisinoprilと同様の降圧作用および腎血管保護作用を有したが、心肥大抑制作用はlosartanが優れており、心肥大には、ACEを介さないangiotensin II生成系が一部関与している可能性が示唆された。(4)ACE mRNA, renin mRNA, angiotensinogen mRNAの測定やTGF-β、細胞外基質であるcollagen I, IIIのmRNAの測定系の確立と測定という遺伝子工学による検討を加えた。(5)麻酔下にて開胸し、左冠状動脈を結紮して心筋梗塞モデルラット作成する。利尿薬をこのモデルに長期投与しても、心肥大や心負荷は改善せず、組織R-A系が利尿薬により賦活化されたために、ACE阻害薬投与の際のような心肥大改善・心負荷改善作用が認められなかったものと考えられた。(6)ラット心臓に対してin vivoでheterotopic transplantationという手法を用い、receipientの心臓はそのまま残したまま、donorの心臓をreceipientの腹部に移植して左室重量や受容体数を比較検討し、心肥大に及ぼすmechanical stretchとhormoneの影響、さらに降圧薬の影響を検討した。
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