研究概要 |
モルモットの心室筋細胞にSBFI/AM(5μM)とfluo-3/AM(10μM)を同時に室温で30分間負荷し,in vivo calibration curveを作成して、[Na^+]iと[Ca^<2+>]iの同時測定法を確立した.CCCP(5μM)とamytal(3.3mM)による代謝阻害時の[Na^+]iと[Ca^<2+>]iを測定した。[Na^+]iはコントロールの6.2±0.5mM(平均±SE、n=31)から20分後には18.6±1.6mM(p<0.01)に上昇した。[Ca^<2+>]iは20分後には変化を認めず、50分後にはコントロールの167±14%に上昇して27個(89%)の細胞が拘縮した。代謝阻害20分後よりglucose(10mM)を投与すると、投与30分後に[Ca^<2+>]iは442±72%に上昇した(p<0.01)。また、Na^+/H^+交換阻害剤であるHMA(1μM)により[Na^+]i上昇を抑制するか、または無Ca^<2+>溶液の灌流により、代謝阻害時の[Ca^<2+>]i上昇が抑制された。また、ジギタリス剤であるstrophanthidin(500μM)投与時と比較すると、[Na^+]iの上昇には両者で差を認めなかったが、代謝阻害時の[Ca^<2+>]i上昇はstrophanthidin投与時に比し有意に低かった。以上より、代謝阻害時の[Ca^<2+>]i上昇はNa^+/Ca^<2+>交換によるが、その活性は抑制されていることが示された。代謝阻害時にmicroelectrodeにより測定した膜電位は-80mVであり、[Na^+]iを18mMとして計算したNa^+/Ca^<2+>交換の逆転電位からは、代謝阻害時にはNa^+/Ca^<2+>交換はreverse modeになっていることが示唆された。
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