研究課題/領域番号 |
06670716
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
星田 四朗 大阪大学, 医学部, 助手 (80238732)
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研究分担者 |
多田 道彦 大阪大学, 医学部, 教授 (90093434)
大津 欣也 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
西田 昌司 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
葛谷 恒彦 大阪大学, 医学部, 助教授 (80150340)
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キーワード | 冠血管形成術 / 冠血管再狭窄 / 筋分化抑制因子Id |
研究概要 |
塩基性ヘリックス-ループ-ヘリックス(HLH)構造を持つMyoD、myogeninなどの核蛋白質は、筋特異的蛋白質の転写を促進し骨格筋の分化をもたらす。HLH蛋白の一つIdは塩基性領域を欠くため、塩基性HLH蛋白質の作用を阻止し、骨格筋、心筋において筋の分化を抑制している。本研究では、血管平滑筋細胞の分化・脱分化におけるId蛋白質の関与を検討した。ウシ、および、ヒト大動脈より得た培養平滑筋細胞におけるId mRNAの発現をNorthern法にて検討すると、増殖期の細胞においてはconfluentに達した細胞に比し約2.2倍に増加していた。冠動脈硬化巣、および、PTCA後のヒト冠動脈再狭窄病変の検体より得たRANをRT-PCR法により検索したところ、Id mRNAの発現が確認された。Idの転写開始部位に対するアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチド(ODN)を培養ヒト平滑筋細胞に添加しId発現を抑制すると、2%牛胎児血清(FCS)に対する24時間の3H-チミジン取り込みがODN非添加群、センスODN添加群に比し添加量依存性に抑制された。細胞数の検討においてもODN添加群で細胞数の増加が有意に抑制された。以上により、(1)血管平滑筋においても、Id蛋白質が細胞増殖の促進をもたらし、筋分化の抑制因子として働いていること。(2)動脈硬化、PTCA後の冠動脈再狭窄などの平滑筋増殖性の病変においてIdが病態因子の一つとして関与していることが推測される。
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