1.代謝性冠拡張はglibenclamideによって抑制される 麻酔開胸犬において、glibenclamideは安静時の血行動態には影響を与えなかったが、頻拍刺激による冠血流増加を有意に抑制した。繰り返し頻拍刺激を行った実験では、頻拍による代謝性冠血流増加反応に再現性が認められた。GlibenclamideはKATP開口薬pinacidilによる冠血流増加は抑制したが、アセチルコリンや硝酸薬による冠血流増加は全く変えなかった。覚醒犬においても、glibenclamideは頻拍刺激による代謝性冠血流増加反応を抑制した。本研究において、glibenclamideが代謝性冠拡張を有意に抑制することが示された。このことは代謝性冠拡張の機序にKATPが関与することを示唆する。 2.代謝性冠拡張はpinacidilによって増強する Pinacidil前投与によって安静時血行動態は変化しなかっったが、denopamineによる冠血流増加は有意に増加した。Denopamineによる血行動態変化にもpinacidilは影響しなかった。Denopamineによる冠血流増加反応には再現性があった。Denopamine冠動脈内投与による冠拡張はβ1拮抗薬bisoprolol投与により完全に抑制された。選択的β2刺激による冠血流増加はpinacidilによって有意に増強した。したがって、Denopamineによる代謝性冠拡張がKATP開口薬pinacidilによって増強することが示唆された。
|