研究概要 |
副甲状腺ホルモン関連ペプチド(PTHRP)は血管壁にもその受容体と共に存在し、血管拡張作用及び血管平滑筋細胞増殖抑制作用が明らかにされている。我々は血管障害性動脈硬化の進展過程においてもPTHrPが重要な役割を果たしている可能性をラット及びヒトバルーン再狭窄組織におけるPTHrP,PTH/PTHrP receptorの発現を明らかにし、さらに再狭窄に対する遺伝子治療への可能性についても現在まで研究を行なってきた。 まずラット頚動脈バルーン障害モデルを作製しPTHrP,PTH/PTHrP receptorの発現をRNaseprotection assay,in situ hybridization,immonohistochemical stainingを用いて検討した。その結果、新生内膜を中心に著しいPTHrPの著しい発現がみとめられた。 一方、受容体は同部位での発現の低下が観察され、バルーン障害後再狭窄病変においてPTHrPはオートクリン、パラクラインに作用していることが明らかになった。ヒトアテレクトミ-組織を用いた解析においてもPTCA後再狭窄病変におけるPTHrPの強い発現がかんさつされた。これらの結果はArteriosclerosis,Thrombosis,and Vascular Biology 1996年4月号に掲載予定である。 さらに我々は再狭窄病変におけるPTHrPの役割とPTHrPを用いた再狭窄に対する遺伝子治療への可能性を検討する目的でラットバルーン障害頚動脈に対してPTHrPアンチセンスオリゴヌクレオチド、発現ベクターの局所投与を行ない、前者における再狭窄病変の悪化、後者における改善が見られた。現在PTH/PTHrP receptorの発現ベクターの局所への導入を行ない再狭窄病変進展に対する効果を解析中である。
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