研究概要 |
副甲状腺ホルモン関連ペプタイド(PTHrP)は血管壁にもその受容体と共に存在し、血管拡張及び血管平滑筋細胞増殖抑制作用が明らかにされている。我々は血管障害性動脈硬化の進展過程においてもPTHrPが重要な役割を果たしている可能性をラット及びヒトのバルーン再狭窄組織におけるPTHrP,PTH/PTHrP receptorの発現を明らかにし、さらに再狭窄に対する遺伝子治療への可能性についても現在まで研究を行ってきた。 まずラット頸動脈バルーン障害モデルを作製し、PTHrP,PTH/PTHrP receptorの発現をRNase protection assay,in situ hybridization,immunohistochemical stainingを用いて検討した。その結果、新生内膜を中心にPTHrPの著しい発現が認められた。一方、受容体は同部位での発現の低下が観察され、バルーン障害後再狭窄病変においてPTHrPはオートクリン、パラクラインに作用していることが明らかになった。ヒトのアテレクトミ-組織を用いた解析においてもPTCA後再狭窄病変におけるPTHrPの強い発現が観察された。 さらに我々は再狭窄病変におけるPTHrPの役割とPTHrPを用いた再狭窄に対する遺伝子治療への可能性を検討する目的でラットバルーン障害頸動脈にPTHrPアンチセンスオリゴヌクレオチド、発現ベクターの局所への導入を行い、現在再狭窄病変進展に対する効果を解析中である。今後PTHrP,PTH/PTHrP receptorの発現ベクターの局所への導入を試み、その再狭窄病変進展に対する効果も検討する計画である。
|