研究課題/領域番号 |
06670735
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
高さき 泉 横浜市立大学, 医学部, 講師 (00244492)
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研究分担者 |
石井 當男 横浜市立大学, 医学部, 教授 (90010363)
塩之入 洋 横浜市立大学, 医学部, 講師 (20128599)
後藤 英司 横浜市立大学, 医学部, 助教授 (30153753)
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キーワード | フィブロネクチン / 摘出血管 / 発現調節因子 / 動脈硬化症 / 高血圧 |
研究概要 |
【研究目的・方法】ラットの摘出大動脈を用い、in vitroの実験系を応用し、血管壁におけるフィブロネクチン(FN)の発現調節機構を明らかにすることを目的とする。本年度の実験では、ガラス製血管拡張器による物理的加圧・拡張が摘出大動脈におけるFNおよび増殖関連遺伝子であるプロトオンコジーン(c-fos)発現に与える影響、およびその発現に関与する細胞内情報伝達系を明らかにすべく検討した。血管壁FN、c-fosの発現はNorthem blot法にて分析した。【研究費の使途】上記の実験を施行するため、研究費の多くをノーザンブロット用消耗品の購入費用に充当した。【今年度得られた結果】ラット下行大動脈より長さ約2cm(内径2mm)の摘出血管を作成し、ガラス製血管拡張器(外径2.0〜3.0mm)にて内腔より拡張し、無血清培養液中で24時間培養し、そのFNの発現におよぼす影響を観察した。血管拡張器にて拡張された摘出血管と、対照として拡張されなかった摘出血管の血管壁でのFNの発現は、前者で約30%増加していた。内径の大きさに依存した発現の増加は認めなかった。この発現増加はプロテインキナーゼC阻害薬の投与により抑制された。一方、昨年度までの我々の研究結果から、摘出血管におけるFNの発現増加に先行してc-fosの発現が培養後超早期に著増することが明らかになっているが、このc-fosの発現増加も部分的に(39.5%)プロテインキナーゼC阻害薬により抑制されることが明らかになった。またこのc-fosの発現増加は、プロテインキナーゼA阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬それぞれ単独では抑制できないが、プロテインキナーゼC阻害薬、プロテインキナーゼA阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬三者を同時に投与して培養するとより高度に抑制(72.0%)されることが明らかになった。【総括】血管壁には壁の拡張を認識してFNの発現増加を惹起する系が存在する可能性がある。この系が活性化する前段階としてプロトオンコジーンの発現増加を介していること、またこれらの遺伝子の発現増加のためには、細胞内情報伝達系としてプロテインキナーゼCが中心的役割を演じているが、他の情報伝達系も部分的あるいは相乗的に関与している可能性が示された。
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